研究概要 |
平成9年度においては主に鶏胚大腿骨のケラタン硫酸以外のグリコサミノグリカンの局在および性質を免疫組織化学および生化学的に検討した。 1免疫組織化学 コンドロイチン4-硫酸に対する反応は類骨,骨細胞表面,骨小腔壁および骨細管に相当すると考えられる小管状・顆粒状の構造物に限局して認められた。また,骨小柱間の骨髄組織にも反応が認められた。デルマタン硫酸に対する反応は上記の所見とほぼ同様な所見が得られた。コンドロイチ6-硫酸またはコンドロイチンに対する反応は鶏胚骨組織において陰性を示したが,骨小柱間の骨髄組織には反応が認められた。 2Western blotting コンドロイチン4-硫酸とデルマタン硫酸に対する反応を検出すると,G1-extractには45,60,110kDa付近と200kDa以上のバンドに反応が認められた。mineral相に存在するタンパクを反映するE-extractおよびmatrix相に存在するタンパクを反映するG2-extractには,いずれも45kDa付近のバンドに反応が認められた。 コンドロイチン6-硫酸またはコンドロイチンに対する反応を検出すると,G1-extractには反応が認められたが,E-extractおよびG2-exractには反応するバンドが全く認められなかった。 3ケラタン硫酸プロテオグリカンの分離・精製 現在,平成8年度にE-extractに同定した分子量約72kDaのケラタン硫酸プロテオグリカンの分離を行っている。 4結論 鶏胚大腿骨においては,コンドロイチン4-硫酸およびデルマタン硫酸鎖を含有し,コアプロテインの分子量が約45kDaである小さなプロテオグロカンが主にmineral相とmatrix相に存在し,形態学的にはこれらが主に類骨,骨細胞表面,骨小腔壁,骨細管壁に存在することが判明した。
|