研究概要 |
目的:近年,失われた歯槽骨を回復する目的で,GBR法が盛んに行われている。この時の骨再生現象は歯槽骨や骨膜中の血管と大きくかかわっている。歯槽頂縁の高径は、抜歯窩からの骨膜の高さによって決定される。そこで今回、骨膜とその血管がPTFE Membrane上に沿って,伸展再生することによって歯槽骨の高さがどのように変化するかを血管鋳型法で観察した。 方法と材料:実験には成犬(ビ-グル)を用い、抜歯後即、PTFE膜を応用した。血管内腔に合成樹脂を注入,周囲軟組織を蛋白分解酵素で除去し血管構築を走査型電子顕微鏡で観察した. 結果:術後14日、抜歯窩内に始まる骨添加は既存骨の歯槽頂縁を越えて上方,側方へと進行し,Membrane内面の形態に沿って新たな形態の歯槽骨を形成した。 術後30日Membrane直下は多孔の骨から,板状骨へと形態変化していた。また血管の密度も減じていた.またMembraneの外側に沿って骨膜の平坦な血管網が観察された。Membraneは歯肉の下方増殖を抑制するとともに,歯槽骨の高さを決定することが示唆された。 術後60日の研磨切片ではMembrane内面は正常と変わらない新生骨梁になっていた.そして既存の歯槽骨より上方,側方に添加した新生骨は歯槽骨の高さと幅を大きく増加させていた。また,術後14日、Membraneと既存骨の間隙にも幼弱な新生骨がみられ、術後30日,Membraneを含んで側方にも骨添加がおきていた.
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