研究概要 |
目的:Guided bone regeneration(GBR)法を用いることで、幅径や高さの少ない歯槽骨にもimplantを埋入することが歯科臨床でも可能となってきた。それに伴い手術が一回ですむ吸収性の材料が試みられてきた。しかし材料の素材、吸収時間や吸収率、吸収様式など様々な検討が必要となった。我々は一連の研究で歯槽骨の再生は、血管新生に追随して生じてくることを血管鋳型法で報告してきた。本実験では吸収性膜を用いて、GBR手術後120日の再生歯槽骨と血管との関係を血管鋳型標本とし走査型電子顕微鏡で観察した。 材料と方法:実験動物にはビ-グル犬を用い、両側下顎前臼歯部を抜歯後、歯槽骨が再生するまで90日間待った。歯槽頂上に横切開を入れ、粘膜骨膜弁を開き、歯槽骨上に一定の大きさの実験的骨窩洞(length7 mm,width3mm,depth5mm)を形成した。この骨窩洞を吸収性membrane(Resolute regenerative Material/W.L.Gore & Associates,Inc,U.S.A)で覆い粘膜骨膜弁を縫合し閉鎖した。また対照群では、membraneを使用せずに骨窩洞形成後そのまま弁を縫合し閉鎖した。そして術後120日に血管注入を行った。 結果:今回実験に使用したmembraneは直径30μmのfiberで構成され、この間隙は100-200μmであった。対照群では骨窩洞上面の再生骨表面は骨膜の血管網とともに下方へ凹湾していた。実験(GBR)群でも再生歯槽骨は下方へ凹湾していた。溶解し始めたmembrane中に骨膜の血管が侵入していた。これはmembraneのmeshの目が粗いこと、また溶解速度が速く骨膜を周囲歯槽骨より高い位置に誘導することができなかったことが考えられた。以上より骨形成と微小循環は大きな関連性を持つことがあらためて確認された。
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