骨吸収因子ばかりでなく骨形成因子としても注目をあびているプロスタグランディンE2を作る酵素は、プロスタグランディンH2合成酵素(COX)であるが、最近この酵素に、COX-1とCOX-2のアイソマ-が存在することが明らかとなった。そこで、これらCOXアイソマ-の骨代謝における役割の解明を行なった。その結果、IL-1などのサイトカインによる骨吸収作用は、IL-1が骨芽細胞に働きCOX-2のmRNAレベルを上昇させ、その結果としてPGE2産生に伴う破骨細胞数の増加によるものであることが明らかとなった。一方、従来PG合成とは関係がないと考えられてきたIL-6、PTH、ビタミンD3などの破骨細胞形成もCOX阻害剤で抑制されることが明らかとなり、その機序の解明が必須であった。そこで本研究において、私が開発した破骨細胞形成系のような混合細胞培養系においても個々の細胞のCOX活性を生きたまま測定できる計(1995年 Biochemistry)を応用して、その機序の解明を行なった。その結果、破骨細胞前駆細胞の破骨細胞への文化にはCOX-2の発現が必須であり、このCOX-2を抑制することによりすべての破骨細胞形成促進因子の効果がなくなることが明らかとなった。さらに骨形成系におけるPGE2の役割を解明する目的で、PGE2の投与を行なったところ新生骨への血管新生が促進することが明らかとなった。そこで、その作用点を調べたところ、COX-2で産生されたPGE2が血管新生因子であるVEGFの産生を促進することが明らかとなった。今後、さらにこの骨形成系でのPGE2の役割い関して検討を加えるつもりである。
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