研究概要 |
ICRマウスの唾液腺よりアミノ酸配列において互いにきわめてホモロジーの高い組織カリクレイン,mK1,mK9,mK13,およびmK22を得た.組織カリクレインmK13は以前にプロレニン変換酵素として同定されている.今回EGF結合蛋白質として知られているmK9がRen-2プロレニンを特異的に切断し,mK13の1/10の活性で成熟レニンを与えることを見いだした.同基質蛋白に対してmK22(β-endopetidase)は2種の産物,レニンおよびアルギニルレニンを与えた.しかしmK1(真性組織カリクレイン)はプロレニンを全く限定水解しなかった. 組織カリクレインによる限定水解活性を種々のMCAペプチドを用いて調べた.用いた基質はX(Y)-Arg-Arg,X(Y)-Lys-Arg,およびX-Lys-Lysモチーフを有している(ここでXとYは疎水性および親水性のアミノ酸を示す).本研究でmK1,mK9,およびmK13はY-Arg-Argを除く前二者の構造のペプチドを優先的に切断した.X-Lys-Lys-MCA基質はこれら三種の組織カリクレインによってはほとんど切断されなかったが,mK22によって良く切断された.四種の組織カリクレインは塩基性アミノ酸対を有する前駆体蛋白質をプロセッシングすると考えられた.そして三種の組織カリクレイン(mK1,mK9,mK13)の特異性は互いに類似しているがmK22の特異性とは異なっていた.
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