研究概要 |
1.ICRマウスの唾液腺よりアミノ酸配列において互いにきわめてホモロジーの高い組織カリクレイン,mK1,mK9,mK13,およびmK22を得,組織カリクレインmK13はプロレニン変換酵素であることを確認した.今回EGF結合蛋白質mK9がRen-2プロレニンを特異的に切断し,mK13の1/10の活性で成熟レニンを与えることを見いだした.同基質蛋白に対してmK22(β-endopetidase)は2種の産物,レニンおよびアルギニルレニンを与えた.その活性はmK9によるプロレニン変換活性とほぼ同程度であった.しかしmK1(真性組織カリクレイン)はプロレニンを全く限定水解しなかった. 2.DBA/2Nマウス顎下腺より組織カリクレインファミリーに属する酵素を純化した.アミノ酸配列ならびにRT-PCRクロニングにより得たcDNAのシーケンスからこの酵素はプロレニン変換酵素mK13/mK26(PRECE,およびPRECE-2)と極めてホモロジーが高く(アミノ酸配列でPRECEおよびPRECE-2と99.2%,および96.2%),実際にプロレニン変換活性およびキニン遊離活性を有することが明らかになった.上記2系統のマウスでの2種の酵素の発現状態から今回クローニングした組織カリクレインはPRECEのアロザイム(PRECE^b)であると考えられた. 3.マウスの真性組織カリクレインmK1を用いて作製した抗体からmK1特異的な抗体プローブを作製した.本抗体を用いて顎下腺におけるmK1の局在を酵素免疫法(光学顕微鏡)およびイムノゴールド法による免疫電顕によって調べた.mK1は一部の顆粒性導管(GCT)細胞の分泌顆粒に局在した.雌雄とも腸性分泌顆粒を含む細胞と陰性分泌顆粒を含む細胞がモザイク状に混在した。
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