研究概要 |
実験には、ウシガエルを用いた。舌を摘出し、酵素処理により単離味細胞を得た。カエル味細胞の膜電位を-50mVに保持しながら、-100〜100mVの間のランプ電位変化(167mV/s)に対して流れる膜電流を測定し、電流-電圧(I-V)関係を求めた。電極内液に1mM EGTAを加えて静止時の細胞内Ca^<2+>濃度を約17nMとして、細胞外液にCa^<2+>イオノフォアであるイオノマイシン(3μM)を加えると、味細胞はコンダクタンス上昇を伴う内向き電流を発生し脱分極した。この内向き電流は、外液にCd^<2+>を加えると部分的に抑制された。電極内液のCa^<2+>緩衝剤を10mM BAPTAに交換すると、味細胞はイオノマイシン誘発性の内向き電流を発生しなかった。従って、イオノマイシンは、あくまで細胞内Ca^<2+>濃度を上昇させることにより、内向き電流を発生させたと考えられた。EGTAを除き、1mM Ca^<2+>を加えた電極内液で細胞内を灌流すると、ある味細胞はコンダクタンス上昇を伴う内向き電流を発生したが、他の細胞はコンダクタンス上昇を伴う外向き電流を発生した。同様に電極内液に50μM1,4,5-IP_3を加えて膜を破り全細胞クランプの状態にしても、内向き電流の発生を示す細胞と外向き電流の発生を示す細胞が見られた。以上の結果よりカエル味細胞は、IP_3レベル増加により細胞内ストアから放出されるCa^<2+>によって活性化されるイオンチャネルを有することが明らかとなった。
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