研究課題/領域番号 |
08672132
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
坂井 英昭 長崎大学, 歯学部, 助教授 (40225769)
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研究分担者 |
坂井 詠子 長崎大学, 歯学部, 教務職員 (10176612)
加藤 有三 長崎大学, 歯学部, 教授 (20014128)
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キーワード | 細胞内蛋白質輸送 / 小胞体 / クオリティーコントロール / カテプシン |
研究概要 |
細胞内分泌経路を経由するタンパク質として非リソソーム性細胞内アスパラギン酸プロテアーゼであるカテプシンEと、骨基質タンパク質であるオステオカルシンを選択した。遺伝子工学的手法を用いてそれぞれのタンパク質の変異体を作製し、小胞体内クオリティーコントロール機構により分解されるか否かを検討した。ラットカテプシンE(wtRCE)は分子内に二つのN-結合型糖鎖付加部位をもつ。ツニカマイシン処理により細胞に発現しているカテプシンEの糖鎖付加を阻害すると、カテプシンE分子は極めて早く細胞内から消失した。このとき、細胞外への放出は認めされなかったことから、糖鎖が付加されなかったことでカテプシンEは急速に細胞内で分解・除去されることが考えられた。そこで、カテプシンEの糖鎖付加部位を欠失させた変異体を作製し、^<35>Sメチオニンを用いたパルスチェイス実験によって細胞内生合成過程を検討した。wtRCEの二つの糖鎖のうち片方の糖鎖付加部位を変異させた変異体は44kDaのプロ型分子として合成され、24時間後も分子量は変化せず細胞内に存在していた。残る一つの糖鎖付加部位には高マンノース型糖鎖が付加されていた。糖鎖の全く付加されない変異体も42kDaのプロ型分子として細胞内に貯留していた。酸変性ヘモグロビン水解活性(pH3.8)を調べたところすべての変異体は、wtRCEと同程度の比活性を示した。以上の結果より、ツニカマイシンで誘導されるカテプシンEの細胞内での急速な分解は、単に糖鎖付加阻害だけでなく、何らかのクオリティーコントロールに関与する分子群の誘導を行ったためと考えられた。薬剤処理を行ったときのオステオカルシンの分子内の動向に関しても類似の結果が得られた。オステオカルシン産生細胞をワルファリン処置し、γ-カルボキシル化を抑制すると、オステオカルシンは小胞体内に貯留する。ところが、γ-カルボキシル化されないオステオカルシン変異体は細胞から分泌されうるという実験結果が得られた。現在、薬剤処理によって誘導されるストレスタンパク質の、小胞体内クオリティーコントロール機構における必要性を検討している。
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