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1996 年度 実績報告書

向精神薬による唾液分泌抑制機構におけるイノシトールリン脂質代謝回転の役割の解析

研究課題

研究課題/領域番号 08672140
研究種目

基盤研究(C)

研究機関東京歯科大学

研究代表者

澤木 康平  東京歯科大学, 歯学部, 講師 (50178828)

研究分担者 川口 充  東京歯科大学, 歯学部, 教授 (20096473)
キーワード向精神薬 / 唾液腺 / 口腔乾燥 / 唾液分泌 / イノシトールリン脂質代謝 / 細胞内情報伝達 / イノシトール-3リン酸 / ベンゾジアゼピン受容体
研究概要

口腔乾燥が、各種の薬物の副作用として起こることが知られている。向精神薬であるベンゾジアゼピン系薬物もその一つに分類される。ベンゾジアゼピン系薬物によって誘発される唾液分泌抑制を明らかにするために、今年度は、唾液分泌において重要な役割を果たしているイノシトールリン脂質代謝回転に対するジアゼパムの影響をイノシトール-1,4,5-三リン酸(IP_3)産生を指標にして調べた。実験には、コラゲナーゼ、ヒアロニダーゼの酵素処理にて調製したラット耳下腺腺房細胞を用い、以下の結果を得た。
(1)唾液腺細胞膜のm3-ムスカリン受容体をカルバコール(10^<-4>M)で刺激した時のIP_3産生量は、刺激5秒後に無刺激時の約1.8倍に増加し、その後は減少した。(2)このカルバコール刺激による細胞内IP_3量の増加は、ジアゼパム(10^<-9>〜10^<-5>M)の前処置により用量依存性に減少した。しかし、100%抑制されることはなく、ジアゼパム10^<-5>Mで、最大35%の減少率であった。ジアゼパム処置のみでは、IP_3量に顕著な変化はみられなかった。(3)IP_3量の減少は、耳下腺腺房細胞とジアゼパムとの短時間(1分以内)の前処置によってもたらされた。(4)カルバコール(10^<-6>〜10^<-3>M)によるIP_3産生曲線は、ジアゼパム(10^<-7>〜10^<-5>M)によって最大産生量が低下し、下方向に移行する非競合的阻害であった。(5)ジアゼパムによるカルバコール刺激IP_3量の減少は、末梢型および中枢型ベンゾジアゼピン受容体遮断薬(PK11195とフルマゼニル)によりそれぞれ45〜65%抑制され、さらに両受容体遮断薬の併用により完全に抑制された。
以上の結果より、ジアゼパムがムスカリン受容体に作用してIP_3産生を抑制しているのではなく、細胞膜上のベンゾジアゼピン受容体を介した作用であることが強く示唆された。さらに、IP_3量の減少が、ベンゾジアゼピン系薬物による唾液分泌抑制に一部関与していることが示唆された。

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公開日: 1999-03-08   更新日: 2016-04-21  

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