研究課題/領域番号 |
08672140
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研究機関 | 東京歯科大学 |
研究代表者 |
澤木 康平 東京歯科大学, 歯学部, 講師 (50178828)
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研究分担者 |
川口 充 東京歯科大学, 歯学部, 教授 (20096473)
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キーワード | ベンゾジアゼピン系薬物 / 唾液腺 / 唾液分泌 / 細胞内情報伝達 / イノシトールリン脂質代謝 / ホスホリパーゼC / CTP結合蛋白質 / ベンゾジアゼピン受容体 |
研究概要 |
向精神薬であるビンゾジアゼピン系(BDZ)薬物が、副作用として唾液分泌を抑制することが知られている。8年度のラット耳下腺房細胞を用いた研究において、BDZがムスカリン受容体刺激によるイノシトール-3リン酸(IP_3)産生を抑制することから、BDZによる唾液分泌抑制にイノシトールリン脂質代謝抑制が一部関与していることを明らかにした。本年度は、イノシトールリン脂肪代謝に関与し、IP_3産生に重要な役割を担っているGTP結合蛋白質(G蛋白質)とホスホリパーゼC(PLC)に対するジアゼパム(DZP)の影響を調べた。実験には、ラット耳下腺形質膜を用い、以下の結果を得た。1.10mMNaf+30μM AlCl_3により細胞膜のG蛋白質を直接刺激した時のPLC活性は、対照値に比べて約2倍に上昇した。このAlF_4-刺激によるPLC活性は、DZP(10^<-8>〜10^<-5>)により減少した。しかし、その最大減少率は195であり、腺房細胞を用いたカルバコール(CCh;10^<-4>M)刺激によるIP_3産生の抑制率(約35%)よりも低い値であった。対照のPLC活性は、DZPにより変化しなかった。2.形質膜を2M KClおよび1%コール酸ナトリウム処理により得たまく可溶性画分のPLC活性は、1mM CCh+10μM GTPγSによってもさらに活性化されることなく、対照値とほぼ同じであった。この膜溶性画分のPLC活性は、DZP(10^<-8>から10^<-5>M)によっても顕著な変化は見られなかった。しかし、PLC阻害薬であるCompound 48/81(10^<-5>M)によってPLC活性は減少した。以上の結果は、DZPが直接PLCに作用しているのではなく、G蛋白質に弱いながらも作用してその機能を一部抑制していることを示している。その結果、PLC活性が低下し、IP_3生産量が減少するものと考えられる。しかし、DZPのG蛋白質に対する作用は弱く、細胞膜状のBDZ受容体を介した他の要因による影響が大きいと推察された。
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