研究課題/領域番号 |
08672142
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
機能系基礎歯科学
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研究機関 | 神奈川歯科大学 |
研究代表者 |
塗々木 和男 神奈川歯科大学, 歯学部, 講師 (90139577)
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研究分担者 |
庄司 洋史 神奈川歯科大学, 歯学部, 助手 (90277913)
李 昌一 神奈川歯科大学, 歯学部, 助手 (60220795)
高橋 俊介 神奈川歯科大学, 歯学部, 助手 (60206810)
岡部 栄一郎 神奈川歯科大学, 歯学部, 教授 (50097276)
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研究期間 (年度) |
1997 – 1998
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キーワード | オプティカルバイオセンサー / ヒポキサンチン / 虚血 / 化学発光 / 過酸化水素 / ルミノール / 酸素フリーラジカル / 血漿 |
研究概要 |
オプティカルバイオセンサーは、優れた分子認識機能を持つ生体内物質(酵素)によって測定対象を選択的に識別する部分と、識別反応を光学的に検出する部分から構成される。我々が研究したセンサーは、測定対象物質を酵素で認識した後に生成される過酸化水素やスーパーオキシドラジカル(O_<2・・>)をルミノールや他の化学発光試薬と反応させ、生ずる発光を検出するタイプのセンサーである。また、光ファィバ-の先端で発光反応を開始させるオプトロード型(電子の出入口をelectrodeと呼ぶのに対して、光量子の出入口をoptorodeと呼ぶ)酵素センサーを内蔵することにより、測定部位と発光検出部を光ガイドで連結分離でき、in vivo実験を可能にする。このような実用的センサー開発を目的として、2年間の研究成果を踏まえながら、改良点を以下にまとめる。【H_2O_2センサーの改良】前年度に我々が作成・使用したセンサーは、ルミノール/H_2O_2系の発光反応を増強するペルオキシダーゼをマトリックスに固定化した発光膜を装着したセンサーである。このルミノール系H_2O_2センサーの検出範囲は10^<-6>から10^<-8>Mであった。また、検出限界は10^<-10>Mオーダーであった。さらに我々は微量(10^<-15>M)H_2O_2でも検出可能な発光反応を生ずるシュウ酸エステルに着目し、試作したシュウ酸エステル系H_2O_2センサーで10^<-15>Mオーダーの測定を可能にした。現在、マイクロダイアリシス法を用いて、生体内測定を考えている。【HXセンサーの改良】ルミノール系H_2O_2センサーの発光膜であるペルオキシダーゼ固定化マトリックスにXOをさらに複合固定することで、10^<-4>から10^<-8>Mの範囲でヒポキサンチン検量線を得ることができた。検出限界は10^<-1O>Mであった。シュウ酸エステル系H_2O_2センサーをベースに構成されたHXバイオセンサーでは、検出限界を10^<-12>Mオーダーにまで測定感度を向上させることができた(in vitro)。これは生体HX動態をモニターするのには十分な感度である。【スーパーオキシドラジカル(O_<2・・>)センサーの新規作製】海ホタルルシフェリン誘導体であるCLAおよびMCLAは、O_<2・・>に対して比較的選択性のある発光薬である。MCLAをマトリックスに固定化し、ファイバーの先端に装着するだけでO_<2・・>センサー(化学センサー)を構成することができた。実際、キサンチンオキシダーゼ0.1U/ml存在下で、HX濃度10^<-4>から10^<-1O>M(in vitro O_<2・・>発生系)のレンジで検出することができた。しかし、CLAおよびMCLAは一重項酸素、高濃度H_2O_2および高濃度フェントン試薬等においても発光するため注意が必要である。このO_<2・・>センサーをHXバイオセンサーのベースセンサーとして応用することができ、シュウ酸エステル系センサーと共に生体内ラジカル測定にとって有効な武器となるものと期待できる。 今後、これらオプティカルバイオセンサーを用い、生体内ラジカルおよびラジカル関連メディエーターのリアルタイム検出を実現させるためには固定化酵素および発光試薬の生体内に設置した場合、いかに安定性を確保するかが残された課題である。本研究データがこれからのラジカル研究の進展の礎となることを願う次第である。
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