研究概要 |
【目的】超音波画像の良否および画質を評価するための一要素として分解能がある。一般的にこの分解能は超音波周波数が高いほど向上するといわれているが、周波数を上昇させるに従って体内における減衰が増加する傾向がある。そこで、中心周波数の違いによる顎顔面頚部領域における組織構造のエコー性状の変化を見いだし、その特徴を検討する。 【対象】1,生体組織等価超音波ファントムRMI404GS(Gammex社.USA) 2,健常人の顎顔面頚部組織構造(筋、大唾液腺)および同部位の病変例(炎症、腫瘍) 【装置・条件】超音波診断法は通常のBモード像の中心周波数が5.0,6.0,7.0,8.0MHz(4段階)、カラードプラモード像の周波数が4.0,5.0,7.0MHz(3段階)に切り替えられるリニア探触子を装備したリアルタイムカラードプラ診断装置Sequoia 512(Acuson社,USA)を使用した。走査時のbeam focussingおよびdepth gain compensationはすべて一定とした。画像はマルチイメージャで記録した。 【方法】超音波画像を解釈するために最初にファントム画像(nylon pins&gray scale targets)を利用して、画質の物理的特微を求めた。次に臨床例では健常例と病変例におけるエコー所見(境界輪郭・内部性状・その他)の相違を分析した。 1,撮像された超音波像をイメージスキャナで取り込み、デジタル化された画像をマイクロコンピュータヘ転送し、濃度処理を行った。 2,Target像全体から送受信方向に濃度プロフィールを作成し、境界部の濃度落差および内部濃度レベルを測定した。 3,濃度処理された画像(256階調)を階調処理し、任意に設定したtargel内の関心領域を一定数の部分区画に区切りその区画内に含まれる中心画素とその近傍画素濃度を平均化するプログラムを作成し、テクスチュア解析を行った。 【結果】中心周波数域の上昇に伴って以下のような結果が得られた。 1,無〜低エコー域(エコーが観られないか、あるいは周辺部より低いエコーレベルを示すと思われる領域)ではエコーレベルの上昇を認めた。 2,皮下深層部においても諸構造の輪郭を表す境界エコー帯はほぼ一定幅の帯域を有した。 3,Artifactsである多重反射帯が狭小化する傾向がみられた。 4,隣接する血液信号域は小さくなるが、それぞれの分離描出は向上する傾向を示した。
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