研究概要 |
平成9年度は、ベンゾジアゼピン系鎮静薬であるミダゾラムが高濃度カリウムおよび1/200,000ノルアドレナリンによる脳血管収縮を濃度依存性に抑制するという平成8年度の研究結果を元に、ミダゾラムの作用部位を検索する目的で以下の実験を行った。 1.屠殺直後のブタから中脳動脈血管平滑筋標本を作製し、蛍光カルシウム指示薬Fura-2/AMを負荷したのち、すべての標本で90mM KClを投与し、その時発生する等尺性張力と細胞内カルシウムイオン濃度([Ca^<2+>]_<ii>)の変化を求め、基準値(100%)とした。 2.1/200,000ノルアドレナリンを灌流し、基準値に対する%評価した。その後10^<-5>Mミダゾラム添加1/200,000ノルアドレナリンを灌流し、基準値に対する%評価し、ミダゾラム無添加時と比較検討した。 3.50mMKClを灌流し、基準値に対する%評価した。その後10^<-5>Mミダゾラム添加1/200,000ノルアドレナリンを灌流し、基準値に対する%評価し、ミダゾラム無添加時と比較検討した。 結果:10^<-5>Mミダゾラムはノルアドレナリン刺激、KCl刺激による等尺性張力、[Ca^<2+>]_iのいずれをも同程度に抑制した。 考察:この結果よりブタの中脳動脈血管平滑筋では、ミダゾラムは膜電位依存性の血管収縮および受容体依存性の血管収縮のいずれをも抑制することが分かった。さらに現在、カルシウムを細胞内貯蔵部位から放出させるカフェインを用いてミダゾラムがこの部位を抑制するものなのか、さらに収縮蛋白のカルシウム感受性を抑制するものなのか検討中であるが、未だ明確な結果を得るに至っていない。
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