医療分野における画像診断情報のディジタル化にともない、ディジタル画像機器が多数開発されている。そして、イメージセンサにイメージングプレート(IP)を用いた口内法撮影専用のディジタルイメージングシステムとしてDigora(Orion Corp.Ltd.Soredex:Finland)が開発された。これを利用してディジタルイメージングシステムの主体であるCRT画像の臨床的画像診断能について検討評価することを目的とした。 まず、IPを用いたディジタルイメージングシステムの画像特性を拡大撮影法などで検討し、その有効性を示した。しかし、従来の画像診断はフィルム画像が主体なので、CRT画像との検討を行うためにDigoraの画像情報をフィルム画像にしたものと通常フィルム画像の3画像にて視覚的検討をおこなった。Digoraのフィルム画像を得るためにDigoraの画像フォーマットをコンピュータによりComputed Radiography(CR)用に変換してCR9000で読み取とり画像処理を行い片面乳剤フィルムに書き込んだ。画像診断能については隣接面カリエスのある天然歯によるカリエスおよび、9段階に脱灰した海綿骨で骨変化の検出能の視覚的評価を行い、ROCカ-ヴ(Az値)で検討した結果、3画像間に有為差は認められなかった。また、ファントームによる正常エックス線解剖像について5段階評価で検討した結果も3画像は同等の評価であった。これら結果は、CRT画像の診断が臨床に対応できることを示唆した。そこで、臨床例の検討のためにインフォームドコンセントを行った患者に通常口内法用フィルムの後にIPを重ねて通常条件で撮影を行い同時に2つの画像を得た。その2画像の視覚的評価によるAz値の検討で有為差は認められなかった。 DigoraのCRT画像の診断能は、画像情報をフィルム化する必要はなく、通常フィルム画像と同等であると認められた。現在、IPの種類や撮影条件について検討中である。
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