画像診断情報のディジタル化にともない、医療用ディジタル画像機器が多数開発されている。そして、イメージセンサにイメージングプレート(IP)を用いた口内法撮影専用のディジタルイメージングシステムとしてDigoraが開発された。これらディジタルイメージングシステムはCRT画像による診断が主体である。そこでDigoraを利用してCRTによる臨床的画像診断および適切なIPの検討を行い、歯科領域におけるディジタルイメージングシステムの評価について指標を示すことを目的とした。 (1):IPを用いたディジタルイメージングシステムの特性について拡大撮影法などで検討して有用性を示した。(2):従来のフイルム画像とCRT画像の診断能について検討するためにDigoraの画像フォーマットをCR用に変換してフイルム出力にした。(3):下顎骨ファントムによる正常解剖像の認識能についてCRT画像と従来のフイルム画像およびDigoraのフイルム画像を視覚的に比較した。その結果、3画像間に有意差はなかった。(4):隣接面カリエスの検出能において3画像間に有意差はなかった。(5):海綿骨の脱灰に対する診断能にも3画像間に有意差はなかった。(6):(2)、(3)、(4)、(5)よりCRT画像で口内法の診断が十分可能であり、フイルム出力による診断が必要でないことを明らかにした。(7):臨床例(カリエス、歯根嚢胞、根尖性歯周炎、返縁性歯周炎)についてCRT画像とフイルム画像の診断能を比較し、優意差はなかった。(8):DigoraにおけるIPの種類(Digora用:HR、一般撮影用:ST、電子顕微鏡像撮影用:UR)による照射時間の軽減はHRがDスピードフイルムの1/4程度まで軽減しても診断が可能であり、被曝線量の軽減が示された。(9):3種類のIPの物理的画像特性を検討し、MTFはURが高値を示したがNEQはHRが低線量に対して好成績を示した。(10):(8)、(9)より総合的評価としてDigoraにおける臨床に適切なIPはHRであった。 ディジタルイメージングシステムにおけるイメージセンサおよび出力画像の検討をすることの意義とその検討内容の指標を確立した。
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