1. 研究目的 糖尿病ラットに実験的歯周炎を引き起こし、歯肉内に誘発された一酸化窒素産生酵素を免疫組織学的に検出することを目的とした。 2. 実験方法 Wistar系雄性ラットの下顎右側第一臼歯に前報と同様にゴム輪を挿入し、実験的歯周炎を引き起こした後、ストレプトゾトシンを投与して糖尿病を誘発させた。また、糖尿病を誘発させたラットのうち、インスリンを投与することによって血糖値をコントロールした一群も実験に供した。通法に従い、ネンブタールによる腹腔内麻酔の後、頸椎脱臼によって屠殺を行い、直ちに下顎を切り出した。 10%中性ホルマリン固定・5%エチレンジアミン四酢酸四ナトリウム四水塩(EDTA)を含む1.0Mリン酸緩衝駅(pH7.4)で低温脱灰し、エタノール系列による脱水およびキシレン浸漬の後、パラフィンに包埋し、切片を作製した。各切片をキシレンで脱パラフィンの後、酵素免疫組織学的染色を行った。免疫組織学的染色は洗浄・内在性ぺルオキシダーゼの失活・非特異的抗体のブロッキングを経て、一酸化窒素産生酵素に対する一次抗体(免疫動物ヒツジ)を反応させた。洗浄後、ぺルオキシダーゼ標識抗ヒツジIgG抗体を反応させ、ジアミノベンチジンでぺルオキシダーゼ反応を行い、3種類の一酸化窒素産生酵素の検出を行った。 3. 結果および考察 3種類の一酸化窒素産生酵素は炎症の発現している部位によって誘発される種類が異なっていた。今後は歯周炎の程度や進行過程によってどのような差が観察されるか検討する予定である。
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