研究概要 |
当教室で開発作製してきた二相性リン酸カルシウム(BCP)顆粒がリコンビナントヒトBMP-2の担体として有効であるかどうかについて,ラット背部皮下にその複合体を埋植した場合の異所性骨形成を検討した. 実験動物には7週齢のウィスター系ラット60匹を用い,以下の複合体をその背部皮下に埋植した.担体としては,二相性リン酸カルシウム(BCP群),βーリン酸三カルシウム(TCP群)およびハイドロキシアパタイト(HAP群)を使用し,BMPは,リコンビナントヒトBMPを使用した.担体とBMP複合体の調整は,BMP10μgをL-アルギニンとL-ヒスチジンに溶解し,その溶液中に担体100μlを1時間,減圧下で侵漬させた後,凍結乾燥を行った.観察期間は,4日,1週,3週,12週であり,屠殺後,通法に従い,脱灰,パラフィン包理し,薄切後,ヘマトキシリン-エオジン染色およびアルシャンブルー染色ブルーを施し,光学顕微鏡にて異所性骨形成を観察した.TCP群およびHAP群との比較は,3週のみで行った.術後3週では,BCP群では,TCP群およびHAP群と比較して,より多くの新生骨が観察された.BCP-BMP複合体の経時的観察では,術後4日では,骨様組織の形成は観察されず,1週間後で,1例に球状の骨様組織が観察された。3週後では,BCP群の4例全例に,骨様組織が観察された.12週後では,その骨様組織の形成は,減少しておらず,むしろ増加していた.一方,いずれの時期においても,軟骨様組織の形成は,観察されなかった.従って,BCP顆粒は,リン酸三カルシウムおよびハイドロキシアパタイトと比較して,リコンビナントヒトBMP-2担体としても有効であり,長期的にも新生骨を維持できることが示唆された.
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