研究概要 |
1)7週齢のウィスター系雄性ラット20匹の背部皮下BCP-BMP複合体(BCP顆粒約700μlに対しrecombinant human BMP-2(rhBMP-2)の配合量は,0,2,10,50μg)を埋植し,3週後の異所性骨形成について検討した.50μg群では,5例全例において,球状の骨様集団と層板様構造を有する新生骨が,10μg群では,5例中1例において,骨様組織の形成がみられた.2μg群および0μg群では,骨様組織は認められなかった. 2)ハイドロキシアパタイト(HAP),βーリン酸三カルシウム(β-TCP)およびBCP顆粒について,rhBMP-2との複合体(顆粒約700μlに対しBMP-2は50μg)を30匹のラット背部皮下へ移植し,3週後の異所性骨形成を検討した.BCP-BMP群では、新生骨の形成は顕著で,球状の骨様組織および層板様構造を有する比較的分化した新生骨が観察された. TCP-BMP群では、球状の骨様組織のみが観察された.HAP-BMP群では,一例のみに、骨様組織形成が観察され,BCP,HAPおよびTCPのみを移植したコントロール群では異所性骨形成は認められなかった. 3)20匹のラット背部皮下にBCP-BMP複合体を埋植し,経時的変化(4日,1週,3週,12週)を検索した.術後1週から,球状の骨様組織が観察され,術後3週では,層板様構造を有する新生骨組織が観察された.術後12週では,球状の骨様組織と層板様構造を有する骨組織が観察された.また,軟骨様組織の形成は観察されなかった. このように,BCP顆粒は,コラーゲン等を介在させずに,単独でも,十分な骨形成能力を有し,12週でも十分な量の新生骨がBCP-BMP群で観察されたことにより,二相性リン酸カルシウムがrhBMP-2の担体として臨床的に有用である可能性が示された.
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