研究概要 |
本年度は,歯根膜線維芽細胞(PDL)が産生する活性型ビタミンD3レセプター(Vit-D3R)誘導因子の性状を明らかにするため,以下の実験の計画した。 1)サブトラクションcDNAライブラリィーを作製し,本因子をコードする遺伝子をクローニングする。 2)PDLのVit-D3R発現を増強する因子と既知の増殖因子との対比を作用の面から調べる。 1)については,Luqmaniらの方法(Analytic.Biochem.1994)を参考にして,本遺伝子を発現するPDLのcDNAからそれを発現しない歯肉線維持細胞のcDNAをサブトラクトしたcDNAライブラリィーを作製し,結果として51個のクローンを得た。今後はPDLとの特異性をサザンハイブリダイゼイション法で再度確認した後,それらの蛋白を誘導すべく各遺伝子をmammalian expression vector(pEBVHis;Invitrogen社)に導入し,本因子を産生する九ローンをスクリーニングする予定である。 2)については,各種増殖因子で刺激したPDLのVit-D3R mRNA発現量の変化をRT-PCR法を用いて調べた。調べた増殖因子のうち,インシュリン様成長因子-I,IIおよび上皮成長因子がPDLのVit-D3R mRNA発現を促進した。この結果はNIH-3T3マウス線維持細胞を用いたKurishinanらの報告(J.Bone Miner.Res.1991)と一致するものであった。
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