研究概要 |
マイクロ波照射コンポジットレジンの開発として,Post-cureの影響についてベースモノマー並びにフィラー添加の観点から検討を行った。 その結果,Post-cureとしてマイクロ波照射を施行した重合体は,光照射だけの時より安定した内部構造を示した。マイクロ波3分間照射の重合体の活性化エネルギーが最大値を示したが,C=Cの反応率は,マイクロ波照射時間が長くなるにつれて良好となった。Bis-GMA並びにTEGDMAは,分子量69と113の部分が不安定であり,分解・気化が起こり得る最初の部分であることが確認された。マイクロ波照射により重合体の機械的性質は向上し,3分間照射が最大値を示したが3分間以上の照射では低分子量のポリマーへと構造変化を起こしたものと推察された。 フィラー添加の影響は,先ず,フィラーの性質として粒度分布並びに比表面積の測定を行った。本研究に使用した3種類の高純度球状合成シリカフィラーは,平均粒径を中心とした正規分布を示したフィラーを添加した場合,機械的性質が最も大きな値を示したことから,偏りのない粒度分布を有するフィラー添加が有効であることが示唆された。また,電子顕微鏡観察により,ベースモノマーとフィラーが連結している部分と切断された部分が認められた。したがって,マイクロ波重合型コンポジットレジンには,フィラーの表面処理剤の開発が必要であると示唆された。
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