コンポジットレジン修復におけるレジンと象牙質との接着には、我々の今までの研究の結果、ボンディング材だけでなくデンティンプライマーにも接着性モノマーを含んでいるほうが、接着強さが大きくなることがわかり、中でも親水基としてのカルボキシル基を持つものが安定した接着を示すことが予測されている。そこで4種のボンディングシステム(Clearfil Liner Bond System;クラレ、Scotchbond Multi-Purpose;3M、Lightbond;徳山曹達、Imperva Bond;松風)における、プライマーおよびボンディング材に含まれる接着性モノマーの役割を引っ張り試験で接着強さを測定して検討した。その結果、スミア-層で覆われた象牙質に対する接着強さは、脱灰作用の少ないコンディショナ-処理後、接着性モノマーを含んだデンティンプライマー、ボンディング材を作用させた場合に最大となることがわかった。しかし、被着象牙質試験片が大きく、かつう蝕のないものであることから口腔内のう蝕歯を再現していないため、現在、微小引張り試験を進めており、象牙質ではClearfil Liner Bond System(クラレ)、Scotchbond Multi-Purpose(3M)の二者よりもLightbond(徳山曹達)のほうが有意に接着強さが大きいことがわかった。この結果はThe 4th International Conference on Composite Engineering(1997.7.8-10.Hawaii)で発表予定である。 今後、平成9年度では生体に近い状態の接着機序を接着試験とともに接着界面のSEM及びTEM観察を行い考察する予定である。これによってデンティンプライマーおよびボンディング材の成分の役割を解明できると考えられる。
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