研究概要 |
【方法】実験は、自然発症糖尿病(GK)ラット50匹と、JCLウイスターラット50匹の計100匹を用いた。動物の上顎右側臼歯の歯間部に糸を挿入し、J-1,2群(JCLラット)、G-1,2(GKラット)の4群(各群25匹)に分けた。J、G-1群にはストレスを与えず、J、G-2群は糸挿入後3週より隔日間隔で金網による拘束ストレスを6時間行った。各群の動物は、経時的にブドウ糖負荷試験、採血処置を行い、ストレス負荷後2、4、6、8、10日で各群5匹ずつ屠殺した。通法に従い臼歯部の組織切片を作製し、組織学的に観察した。さらに、JCLラット、GKラットの生後2日令(各10匹)の頭蓋骨を培養し、LPSおよびグラム陽性菌破砕抗原にて刺激し骨吸収程度を比較した。 【結果】ブドウ糖負荷試験では、G群はJ群と比較して有意に高い血糖値を示した。J、G-2群での経時的な変化はみられなかった。しかし、ACTH、カテコールアミンは経時的に低下を示し、J、G-2群がストレス状態にあることが推察された。組織学的には、歯間部歯槽骨の高さに著明な差は認められなかったが、J、G-2群の第2臼歯の根分岐部では歯槽骨吸収が高度になる傾向を示した。また、LPSおよびグラム陽性菌破砕抗原刺激下での頭蓋骨のカルシウムリリースはJ、G群間で著明な差は認められなかった。 【考察】GK(糖尿病)ラットにストレスを負荷すると、病理組織学的に歯周組織の根分岐部に破壊が促進される傾向が認められた。さらに今後、詳細に研究していく予定である。
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