研究課題/領域番号 |
08672219
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
野谷 健治 北海道大学, 歯学部, 助教授 (80113603)
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研究分担者 |
三浦 美文 北海道大学, 歯学部, 助手 (50229647)
斉藤 正恭 北海道大学, 歯学部・附属病院, 講師 (00133752)
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キーワード | 全部床義歯 / 三次元的測定 / 歯槽頂間線法則 / 疑似食品 / 天然歯列 / 義歯の変位 / 咬合位 / 平衡側接触 |
研究概要 |
平成8年度は、上顎全部床義歯の臼歯部排列位置による機能時の動揺れ関して、以下の研究を行った。歯槽頂間線法則に従った力学的配慮に基づく人工歯排列法(以下歯槽頂排列と表記する)と、筋圧平衡や審美性,装着感を優先して天然歯列の再現を目的とし、生物学的配慮から排列した人工歯排列法(生物学的排列法と表記)の2種の人工歯排列を同一義歯床内に交換できる全部床義歯を製作し、シミレーションモデル上に装置した。厚さ1mmと4mmの疑似食品(シリコーンラバー)を介在させ、中心咬合位と側方偏心位の2種の咬合位で荷重し、義歯床の3次元変位を測定した。その結果、1.両排列した義歯のいづれも義歯床の前歯部と作業側では作業側前方に沈下し、平衡側では同方向に浮上した。2.咬合位の相違では、中心咬合位よりも側方偏心位において変位量が大きくなった。3.排列法の比較では、4mm疑似食品で両咬合位とも生物学的排列法の方が変位が大きかった。これは疑似食品が4mmの場合、いずれの排列法でも平衡側では人工歯接触が発生しないため、全体的な義歯床の変位が大きくなるが、力学的排列法では片側性平衡咬合が達成しやすく義歯床の変位が少なくなる、と考えられた。疑似食品が1mmでは、中心咬合位で両排列法ともに義歯の変位量は少なく、両排列法で有意な差異は認められなかったが、側法偏心位では生物学的排列法による義歯で有意に変位量が少なくなった。これは疑似食品が1mmの場合、平衡側での人工歯接触が生じており全体的な義歯の変位が抑制されるが、生物学的排列法では力学的排列法より人工歯列が頬側に排列され人工歯列の副径が大きく、テコアームの拡大となり、平衡側接触がより早期に生じやすく義歯床の変位を抑制しやすいため、と考えられた。
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