東北大学歯学部高齢者歯科・顎関節外来に来院した顎関節症患者に関するデータベースの作成 上記患者のうち、今回は10歳代から30歳代前半までの比較的若干の患者で、歯牙欠損ならびに咬合面を完全被覆する修復物が存在しない患者60名を対象とした。これらの患者の臨床症状について、当科で用いている咀嚼系機能障害プロトコールにしたがって、顎関節、咀嚼筋群、頭部・顎部筋群の疼痛、切歯間開口量、下顎運動時の関節雑音の有無、種類等を診査しスコア化した。 一方、X線規格写真、スタディモデルから、上下顎の顎間関係の分類、種々の形態計測を行い、不正咬合の種類、部位、その程度を評価し形態因子としてスコア化した。また、シリコーンチェックバイトから咬合接触様式を診査し、早期接触、低位咬合等の咬合異常の種類と部位を推定した。これらの咬合異常については、咬合治療によって症状が消失し、顎関節症との関連が強く認められた場合に咬合因子としてスコア化した。 統計学的分析 患者を、咬合時に左右側第一小臼歯より前方歯群に全く咬合接触がない患者群(前歯部開咬群)と、前歯部に咬合接触がある患者群(対照群)とに分けて、臨床症状に関してx^2検定を行ったところ、前歯部開咬群では対照群と比較して、顎関節部の圧痛が多く認められ、咬筋の圧痛が少ないことが明らかとなった。他の症状については両群で差は認められなかった。今後、さらにデータベースを拡大し、他の形態因子、咬合因子についても検索する予定である。
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