我々は顎関節症に用いる咬合面ラミネートベニアの設計・製作に関する研究を行い、以下の成果を得た。 (1)顎関節症患者に対して付与すべき理想的な歯列弓形態を決定するために、視覚的に調和のとれた歯列模型を非接触型3次元形状計測装置を用い計測を行った。そして歯列弓、前後的咬合湾曲、側方的咬合湾曲を多項式で表し、比較検討を行った結果、歯列弓に関しては4次関数で、前後的および側方的咬合湾曲は2次関数で表すことができ、得られた関数の係数を平均することにより理想的と考えられる歯列弓形態を求めることができた。また歯列弓および咬合湾曲を1つの曲線で表すことを試み、その結果3次元的に歯列弓形態をコンピュータ上に表示し、任意の角度から歯列弓形態を認識することが可能となった。 (2)コンピュータにより咬合面ラミネートベニアのデザインを決定するために、計測により得られた歯列模型の3次元データを市販のCADソフトで扱えるようにデータ変換を行うプログラムを自作した。そして、変換した3次元データをCADソフトに読み込み歯列の3次元表示を行った。その結果、視覚的に調和のとれた歯列と顎関節症患者の歯列とをコンピュータ上で比較することが可能となり、咬合面ラミネートベニアを付与するために削らなくてはならない歯の部分などを認識することが可能となった。
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