研究概要 |
1. 臨床例における臼歯部人工歯の排列基準を3次元座標として設定する方法を得るため,総義歯ならびにコンプリ-トオーバーデンチャーを作製した臨床13例について,顎堤ならびにろう義歯の3次元形状計測を行い,解析の資料とした。症例数については,今後さらに増やす予定である。 2. 計測には,非接触型3次元形状計測装置を利用した。上下の顎堤ならびにろう義歯を同一座標系で計測するため,計測装置の回転テーブルに固定する模型固定装置をあらたに作製した。 3. 上下臼歯部顎堤の前額断面における形状について,仮想咬合平面に対する傾斜度を基準として,解剖学的歯槽頂やcenter of the ridgeに相当する点を算出した。次いで,歯槽頂間線に相当する線と仮想咬合平面との交点や領域を算出し,これらと,ろう義歯の臼歯部人工歯の排列位置との関係を,ワークステーションのモニター上で表示した。現在,傾斜度として,0度ならびに20度を利用して検討を行っている。 4. 仮想人工歯排列に利用するため,4倍大臼歯部石膏模型を用い,咬合面,ならびに近遠心隣接面の形状を非接触型3次元形状計測装置で計測した。そののち,これらのデータを合成し,256諧調のgray level imageとして3次元表示を行った。 5. 計測された臼歯部石膏模型の輪郭や咬頭頂ならびに隆線に相当する部分の抽出を行い,仮想人工歯排列時に必要な個々の人工歯のデータ量の軽減をはかった。 6. 現在,パソコンのCRT上に256諧調のgray level imageとして表示した上下無歯顎堤上で,臼歯部の人工歯排列を行うプロシ-ジャーを開発中である。また,3次元座標を利用することにより,隣接する人工歯の接触状況ならびに対咬する人工歯の接触状況を表示する機能も,併せて開発中である。
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