研究概要 |
高齢者の歯・顎・口腔は老化現象に伴っての歯の部分的な喪失、口腔管理の不十分さなどより、残存している歯の健康度に対して種々な障害となる事項がある。この残存している歯の障害となる事項のうち、歯の位置や上下顎の対咬状態などによる咬合接触の有無と個々の条件は残存歯の保全をはかる上に重要な因子と言うことが出来る。 本研究は高齢者の残存歯の状態を咬合接触の有無より観察し、その保全に対する有効な指標を得ることを目的として行った。高齢者の咬合状態をアイヒナ-の分類によりA,B,Cの3群に区分し、各群における残存歯の咬合力、動揺度について検討した。まず、被験者の左右咬筋ついて筋電計(GCマッスルバランサー)を用いて筋電位を導出し、最大咬合力と50%咬合力時に咬合圧力測定器(プレスケール)を用いて残存歯の咬合力分布状態を観察した。咬合支持によるA,B,C群について咬合力との関係をみると、4カ所に咬合支持域のあるA群は、咬合支持域が減少するB,C,群より咬合力の平均値が低くなる傾向を示した。またB,C群では被験者間に大きな差があるのは、B,C群が多様であるため、現在データを収集中である。引き続き義歯装着前から術後まで経時的に残存歯の動揺度測定とレントゲン写真による歯槽骨吸収度と歯根膜腔の状態について観察し、高齢者の咬合状態、歯の動揺度、および歯槽骨吸収度との関連性を検討し、これらのデータより高齢者の残存歯の状態を咬合型より検討し、残存歯の有効な保全条件と対策について検討していきたい。
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