加齢が骨再生に及ぼす影響を明かにするために、雄のニュージーランドホワイトラビットで、若い成長期群として生後14週齢と加齢変化のある成熟期群として生後30週齢のものを用いて実験を行い、下顎骨骨空洞の治癒過程を比較検討した。両群とも外骨膜を注意深く保存した状態で下顎骨に骨空洞を形成した。手術14日後に動物を屠殺し、EDTA脱灰して4μmの切片を作成し、ヘマトキリシン・エオジン染色とアザン・マロリ-染色標本により骨空洞の治癒に関して病理組織学的に検索した。画像解析装置(IBAS)を用いて骨梁の3次元形態解析と組織計量分析を行った。骨梁周囲の細胞の増殖活性は抗BrdUモノクローナル抗体(DAKO)を用いた免疫組織化学的方法により検索した。 その結果以下のことが明かとなった。 1.成長期群では新生骨梁は太く、3次元的に連続していた。骨梁の配列は成熟期群と比較して密であり、規則的な網目状であった。 2.成熟期群では新生骨梁は細く、3次元的に途絶していた。骨梁の配列は不規則であり、密な部分と疎な部分が混在していた。 3.成熟期群では骨空洞内の骨梁数は成長期群よりも多かったにもかかわらず、総骨量は成長期群よりも少なかった。 4.免疫組織化学的分析に関して、この研究のBrdU陽性細胞は非常に明瞭であったことから、骨組織における免疫組織化学的検索において、この方法は簡便で有用な方法と考えられた。
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