平成9年度は、平成8年度に引き続き持続型下顎神経伝達麻酔法の開発とそれに適するカテーテルキットの開発を行い、さらにこの方法を上顎神経ブロックに適応した。。 平成8年度に引き続き、新たなカテーテル26G(TypeC)のものを制作した。 前回と同じく、本学歯学部附属病院で口腔外科手術を受ける患者を対象とし、静脈内鎮静法下、留置要カテーテルを下顎神経の極近傍に挿入した。カテーテル段端は、体外に導き、その段端のカテーテル内に局所麻酔薬を投与し、伝達麻酔が奏効しているかを判定した。 カテーテル挿入性の手技、薬剤投与性の容易さから平成8年度に開発したカテーテルよりも、CTtpeのものが優れていると結論した。本法が奏効しているか否かを薬剤注入後の患者の感覚鈍麻、知覚消失を調べて評価したところ、12例中9例が奏効していた。奏効していなかった3例は、いずれもカテーテル留置の際、刺入針の位置の確認が不十分なものに限られていた。 また1例はカテーテルよりアルコールを注入し、下顎神経の神経遮断を為し得た。 また持続性上顎神経伝達麻酔法の開発に着手した。カテーテルはC Typeを使用した。対象患者ならびに基本的方法は下顎神経の場合と同様であるが、カテーテル先端を翼口蓋窩に設置するようにした。5例の患者に適応したところすべての患者で上顎神経支配領域に感覚鈍麻、しかく知覚麻痺が得られた。 カテーテル留置は最長14日に及んだが、乾癬等の副作用は認められ無かった。 本法は臨床応用が十分可能と結論した。
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