研究概要 |
歯科診療時の疼痛や不安などによる循環動態の変動は循環器疾患を合併している患者にとっては脅威であり,不幸な転帰を惹起することにもなりかねない.これを予防するには循環器疾患の既往の発見と重症度の事前評価が重要となる.そこで研究者らは,歯科医院で頻繁に撮影される歯科パントモグラフィを利用して循環器疾患(特に動脈硬化症や虚血性心疾患)の存在と重症度とを知る方策に着眼した. 平成8年度は,まずは歯科放射線学講座に蓄積されているデジタル化されたCRパントモグラフィ(通常処理)から,病理変化,とくに石灰化を生じた頸動脈像が読影できる画像を選出して光りディスクに蓄積すること,次にこのCRパントモグラフィ画像群の石灰化病変を位置マーカーとしながら,画像のイメージソングを操作して,病的頸動脈を描出するための適切な画像処理条件を見出すことを目的とした.すなわち黒化度曲線を遷移させていきコントラストとラチュードの最適値を求め、さらにはエッジ強調処理も加えていき,病理変化した頸動脈を描出するための最適なパラメータを探ることにした.しかし石灰化を生じた頸動脈像が読影できる画像の選出作業には予想以上の時間を要しているために,目下,画像の選出作業を鋭意急いでいる段階である.なお充分な枚数の画像の選出さえ終えれば,画像処理条件の変更はコンピュータ処理でできるので,平成9年度の研究計画に支障を来すことはないと思われる.
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