研究概要 |
高齢化社会の到来とともに,歯科治療時の偶発症発生率も増加傾向を示しつつある.この傾向は,高齢になるにしたがって,循環器疾患を合併している患者の歯科受診が増え,歯科治療の痛み刺激や不安によって,思わぬ循環器変動が惹起されることによることが多い.このような偶発症を未然に防ぐためには,循環器疾患の合併の発見と重症度の評価が重要となる. 研究者らは,歯科パントモグラフィに稀に描記される頚動脈洞の石灰化像を利用して,この循環器疾患のリスク評価の確立を試みている. その結果,頚動脈洞の石灰化の評価には,従来より用いられているパントモグラフィの撮影条件よりも,CR画像の方がより鮮明に観察することが可能であった.CR画像の条件としては,階調タイプAを使用し,周波数強調は,周波数ランク7,強調タイプT,強調度5の条件でより鮮明に頚動脈洞の石灰化を発見することが容易であった.よって,この条件によるCR画像のパントモグラフィは,患者の循環器疾患のリスク判定に有用であると結論された.
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