腫瘍における血管新生は腫瘍細胞により直接的、間接的に分泌、活性化される血管新生誘導因子により惹起されると考えられている。固形腫瘍はその径が1-2mmに達すると血管新生が起こるとされており腫瘍細胞からの血管新生誘導因子の分泌は腫瘍の増殖進展の早期の段階から誘導される。腫瘍が誘導した新生血管は、基底膜が薄く分断されやすく腫瘍細胞は正常血管よりも腫瘍血管内に浸潤し易い。転移のもう一つの経路は、腫瘍細胞が隣接リンパ管へ直接浸潤しリンパ系に侵入する経路である。増大した腫瘍の辺縁では腫瘍細胞とリンパ管の直接的な接触が増加することにより、腫瘍血管新生はリンパ系への転移も助長している。 本研究では当科で株化され維持されているリンパ節高転移性扁平上皮癌O-1Nを用い、血管新生阻害剤投与による転移抑制、抗癌剤併用による転移治療を試みた。 O-1N 1x10^6/ml細胞浮遊液0.1mlをハムスター頬嚢粘膜下に移植、clock-hours血管新生を肉眼的に観察した。毛細血管密度は腫瘍内で毛細血管が多く含まれる部位を選び、200倍視野(0.785mm)内における毛細血管数を5視野数で平均した。更に、転移リンパ節についても同様の方法で血管新生の有無を評価した。 O-1N腫瘍をハムスター頬嚢に移植、約2週は移植腫瘍に変化はみられないが3週後より腫瘍の増殖が開始されそれとともに周囲より腫瘍への毛細血管の新生・増殖が認められるようになり次第に増加してくる。8週でそのピークとなり腫瘍中心部の壊死傾向とともにプラトーとなる。顎下リンパ節においては肉眼的に転移が発現する6週後より転移リンパ節に周囲より毛細血管の新生がみられるようになり転移腫瘍の増大とともに増加するが節外浸潤が認められるようになると血管は破綻し出血を起こす。腫瘍内の毛細血管密度の変化は、移植1週12【plus-minus】2、2週10【plus-minus】3、3週15【plus-minus】5、4週18【plus-minus】5、6週25【plus-minus】4、8週31【plus-m
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