研究概要 |
平成8年度,9年度と同様に睡眠時無呼吸症候群の新規患者を対象に研究を進めた.しかし,平成10年4月に本学附属病院に「いびき外来」が開設され,同年には291名の新患が来院し,その後も月平均30名の新患が来院するため,睡眠ポリグラフの需要が増え研究の遂行に支障を来した.しかし,可能な限りの測定機器を駆使して,PMAとnasal CPAPとの相互関係を検討した.対象は,睡眠ポリグラフの稼働制限が生じたためnasal CPAPの適応となった無呼吸低換気指数が20以上の50症例の内,nasal CPAPのtitrationをマニュアルで行った9例と患者の都合で中止した2例を除いた39例について分析したところ,平均CPAP圧は7.2cmH2Oであった.この内,PMAを併用しているのは4例で,その平均CPAP圧は6.6cmH2Oと全例の平均よりも低く,nasal CPAPとPMAとの相乗効果が認められた.さらに,PMAの効果をCPAP圧として換算するとおよそ4cmH2Oに相当することがわかった 一方,Uvulopalatopharyngoplasty(UPPP)やLaser assisted uvulopalatoplasy(LAUP)という軟口蓋手術を行っている5例の平均CPAP圧は6.9cmH2Oで,nasal CPAPとの相乗効果は認められなかった.以上から,PMAとnasal CPAPとは積極的に併用 するとCPAP圧を下げたり下顎前突量を軽減したりして,それぞれの治療法のコンプライアンス向上に寄与するが,UPPPやUPPやLAUPといった軟口蓋手術とnasal CPAPとはそれぞれの欠点を補うことができないため,併用は避けるのが賢明であると思われた.今後は,上下顎前方移動術など新しい手術に対してもそれぞれの保存的療法との相互関係を検討する必要があると思われた.
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