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1997 年度 研究成果報告書概要

口腔癌の膜脂質と同組織のリポソームを用いた新しいドラッグデリバリーシステムの開発

研究課題

研究課題/領域番号 08672311
研究種目

基盤研究(C)

配分区分補助金
応募区分一般
研究分野 外科系歯学
研究機関広島大学

研究代表者

虎谷 茂昭  広島大学, 歯学部・附属病院, 講師 (90172220)

研究分担者 岡本 哲治  広島大学, 歯学部, 教授 (00169153)
研究期間 (年度) 1996 – 1997
キーワードリポソーム / 膜脂質組成 / 上皮成長因子受容体 / 扁平上皮癌細胞 / 唾液腺腺癌細胞 / 抗癌剤 / squamous cell / adenocarcinoma cell derived from salivary gland
研究概要

腫瘍の組織型の違いや抗癌剤の種類により抗腫瘍効果に差が生じることは臨床の場においてもよく経験することである。我々は無血清培養の条件下に,口腔由来の扁平上皮癌細胞(SCC)と唾液腺由来腺癌細胞(SAC)を用いて複数の抗癌剤に対する感受性の相違について検討した。この条件下ではSCCはSACに比べてCisplatin (CDDP)に対して抵抗性を示した。一方,adriamycin (ADM)やpeplomycin (PEP)はSACに比較してSCCに対して強い殺細胞作用を示した。CDDP,ADMおよびPEPは能動輸送により細胞内に取り込まれることから,これらの薬剤による感受性の相違は細胞内濃度に依存していると考えられた。そこで膜透過性を決定すると思われる細胞膜脂質組成の細胞間の相違について検討した結果,SCCでは膜脂質の70%以上がphospholipidであり,残りはcholesterolであった。一方,SACでは80%以上がtriglycerideとcholesterol esterを中心としたneutral lipidで,残りの20%がphospholipidで占められていた。SACのneutralの上昇は細胞膜の流動性の低下を招くため,CDDPの細胞内濃度の上昇をきたしたものと考えられた。しかしSCCの膜脂質はphospolipidの割合が高いため膜の流動性はSACに比べて高く,ADM,PEPに対する感受性が高くなったものと考えられた。この結果から抗癌剤の感受性を決定する因子として膜の脂質組成の相違が考えられた。そこでSCCの細胞膜脂質と同組成の脂質からなるCDDPおよびPEP封入リポソームを作製し,無血清培養下の培養細胞に作用させた。その結果,抗癌剤単独処理に比べて抗癌剤封入リポソームはに対して殺細胞効果の増強を示したが,SACに対しては抗癌剤単独処理とも差がなかった。またSCCやSACにおいて上皮成長因子(EGF)受容体が過剰発現していることから,EGF受容体に対するモノクロナール抗体(12-93)を作製し,抗癌剤封入リポソームにアビチン・ビオチン法を用いて本抗体を結合させ培養細胞に対する抗腫瘍効果についても検討した。その結果,SCCおよびSACに対して抗癌剤封入リポソームに比較して高い抗腫瘍効果を有している可能性が示唆された。

  • 研究成果

    (4件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (4件)

  • [文献書誌] 虎谷 茂昭: "口腔癌細胞の膜脂質組成の相違に基づく抗癌剤感受性" Tiss. Cult. Res. Commun.15. 147-153 (1996)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
  • [文献書誌] 虎谷 茂昭: "癌細胞膜の脂質組成の差を利用した癌化学療法の基礎的研究" 日本癌治療学会誌. 31・7. 413-419 (1996)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
  • [文献書誌] S.Toratani, T.Okamoto, T.Shinki, T.Osaki, M.Yabumoto, R.Tanaka, R.Tani and K.Takada: "Sensitivities of Oral Cancer Cells to Various anti-Cancer Drugs based on the Difference of the Membrane Lipid Composition." Tiss.Cult.Res.Commun.15. 147-153 (1996)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(欧文)」より
  • [文献書誌] S.Toratani, T.Okamoto, T.Osaki, T.Shinki and K.Takada: "A Study of Cancer Chemotherapy Based on the Difference in Lipid Composition of Cancer Cell Membrane." J.Jpn.Soc.Cancer Ther.31. 413-419 (1996)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(欧文)」より

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公開日: 1999-03-16  

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