口腔扁平上皮癌患者18名において3番・17番染色体のセントロメアをFISH法を用いて検出し数的異常を検討した。3番染色体は2倍体は60.9±4.0%、17番染色体の2倍体は62.7±3.6%で正常リンパ節よりも明らかに少なかった。3倍体は3番染色体で25.6±3.1%、17番染色体で22.7±2.2%と増加していた。個々の症例において多倍体の占有率は異なっており、症例間に差がみられるので、こうした多倍体の比率から18症例を3群に分類し、腫瘍の再発、予後や腫瘍分化度、ステージ分類との関連性を検討したが有意な関連性はみられなかった。フローサイトメトリーによるDNA ploidy patternとFISH法で検出されるchromosome aneuploidyとの間には、症例数が少ないこともあり、明らかな関連は見いだせなかった。しかしながら、染色体の数的異常が従来考えられていたよりも高頻度に存在していることが明らかになった。こうした染色体の数的異常が腫瘍の悪性度と関連している可能性があり、今後症例数を増やすとともに他の染色体についても検討していく予定である。
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