体重約350g前後のラットを使用した。大腿動脈と大腿静脈にPE50のカテーテルを挿入し、これらは血圧測定と薬剤の投与に使用した。気管を切開し筋弛緩剤(パンクロニュウム 1mg/kg)の投与下で人工呼吸にて動物を管理した。麻酔は笑気を30%で維持した。人工呼吸管理の条件設定は血液ガスの所見を参考にした(PaCO_2=40mmHg)。一回換気量を2.0〜2.5ml、換気回数70回/分の条件で約6〜7時間の実験に耐えることができた。 また脳局所血流量を測定するには蛍光マイクロスフェア(MS)を使用した。脳内の視床と視床下部の血流測定するには蛍光MSを大動脈起始部や左心室内に投与するのでは安定した結果を得ることができなかった。そこで左心房内にカテーテルを挿入することが必要なった。これにはPE10のカテーテルを左心耳から約0.5〜1.0cm進めると左心房に確実に挿入することに成功した。また測定には血液を約1ml動脈から採血する必要があり、これにて循環系が抑制されたので、代用血漿剤の投与で対応した。 このような実験条件の確立に多大な時間を使用したが現在脳血流量の測定が可能になり実験動物に疼痛刺激を加えることにより脳局所血流量が増加する傾向がうかがえている。しかし現在、実験例数が少ないがこれらの成果は平成9年度の歯科麻酔学会にて発表予定である。 なお脳定位固定装置にラットを固定して視床や視床下部の局所グルタメート測定をおこなった。自発呼吸下のもとにテ-ルクランプにて疼痛刺激を加えたが結果を得て考察する段階にはいたっていない。今後はさらに実験を行いNO-cGMP系の関係を追求する研究を続ける予定である。
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