自己血輸血によるサイトカイン変化をIL-1β、IL-6について検討するために、本年度は非悪性腫瘍例として、出血量が600から800ml予想される下顎枝矢状分割咬合改善術症例を対象とした。患者には術前に自己血輸血の施行、および術後の採血の説明をし、同意の得られた12名の採血をおこなった。 自己血輸血は貯血式および希釈式、または両者の併用とし、貯血式の採血は口腔外科が、希釈式は麻酔科が担当した。測定用の採血は術前、自己血返血後、手術後1日、一週間後、10日後とし、ヘモグロビン値、ヘマトクリット値、ACTH、サイトカインとしてIL-1β、IL-6の測定をおこなった。 測定結果は、ACTHは8例のデータでは自己血返血後、一日後で上昇傾向がみられた。IL-6は6例のデータでは自己血返血後に最も上昇した。現在、追加症例について検討中である。また、悪性腫瘍患者についても同様にデータを収集しており、次年度にあわせて検討する予定である。
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