研究概要 |
実験には雄性ゴールデンハムスターを用いた。ハムスターの微小循環観察は,ペントバルビタール麻酔下に頬袋を口腔外に引き出して行う。頬袋は血管周囲の結合組織を剥離除去した後に,プラスチックチャンバーに固定した。観察にはシステム生体顕微鏡(オリンパスBX50-33)を用い40倍では血管構築,100倍では血管径の変化,400倍では血球や血管壁の観察をした。 投与薬物はアセチルコリン,fMLPを選択し,血管径の変化を測定,好中球のローリング,粘着をモニター上で単位面積当たりの数をカウントして解析した。 対照群の細動脈におけるアセチルコリン1μM投与前の血管径平均40.7±4.8に対し,投与後の血管径平均は45.8±8.1であり,有意な拡張が認められた(P<0.05)。細静脈におけるアセチルコリン1μM投与前の血管径27.7±7.1μmに対し,投与後の血管径は25.3±7.6μmであり,有意差は認められなかった。 次に好中球についてfMLP200μM細動脈投与前ではローリングも観察することもなく,fMLP投与後はローリングをするのみで膠着はみられなかった。細静脈ではfMLP投与前ではローリングが観察でき,膠着もほとんどみられない。そしてfMLP投与後より膠着を始める。その後膠着をした好中球のほとんどは血管外へ出て,結合組織へ遊走した。 糖尿病群の細動脈におけるアセチルコリン1μM投与前の血管径平均31.6±3.3μmに対し,投与後の血管径平均は31.6±3.3μmであり,有意差は認められなかった。細静脈におけるアセチルコリン1μM投与前の血管径41.3±8.3μmに対し,投与後の血管径は42.3±8.4μmであり,有意差は認められなかった。 現在,落射蛍光装置(オリンパスBX-FLA)を用いてFITCアルブミンを投与し血管透過性,アクリジンオレンジを投与し白血球動態の観察を行っている。
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