研究概要 |
本研究は口腔癌の臨床腫瘍材料を対象として,組織培養法を用いた抗癌剤感受性試験Histoculture Drug Response Assay(HDRA)を施行し,その臨床的有用性を検討した. 対象症例は口腔外科に受診した進行口腔扁平上皮癌患者15例17検体である.薬剤はcisplatin(CDDP),Carboplatin(CBDCA),Adriamycin(ADM)を用いた.研究方法は原発巣より可及的に無菌的に採取した生検組織,または手術時に採取した癌組織をコラーゲンゲル上で7日間薬剤接触させ培養した.培養終了時にMTTアッセイによる判定を行い,対照群に比して50%以上の抑制率が認められた場合をin vitro感受性ありとし,有効とした. 薬剤cut off濃度について実験的に検討した結果,CDDP20μg/ml,CBDCA25μg/ml,ADM15μg/mlとした。HDRAは細胞間接触を保持したまま長期培養が可能であった。また,口腔扁平上皮癌ではMTTアッセイの結果として判定可能率は88%であった.これらの判定可能症例については,CDDPあるいはCBDCAを中心とした化学療法を行い,臨床での化学療法の効果を判定した。CDDP20μg/ml I.I.50%以上の2症例はPRであった。口腔癌症例に対して組織培養法HDRAによる抗癌剤感受性試験を行い,その基礎データを得るとともに,本法は臨床応用に有用な試験法であることが示唆された。今後も症例を追加して検討していく.
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