本研究においてはマウス扁平上皮癌に対するIL-12およびその徐放製剤のin vivo抗腫瘍効果について検討を行った。C3H/Heマウス(4週令メス)に同系腫瘍NR-S1(5×10^5)を腹部皮下に移植して約10日後、8〜10mmの腫瘍結節を形成した時点で担癌マウスとして治療を行った。対照群(生食100μl局注)、OK432投与群(OK432 0.5KE局注)、IL-12局所投与群(IL-12 1000U)、IL-12腹腔内投与群(IL-12 1000U)、リポソーム封入IL-12投与群(リポソーム封入IL-12 1000U局注)を隔日、計4回投与して腫瘍経の経日的変化を測定し生存日数とあわせて比較検討した。対照群、OK432投与群に比較してIL-12局所投与群、IL-12腹腔内投与群、リポソーム封入IL-12投与群ではいずれも腫瘍増殖抑制と生存日数の延長がみられ、とくにリポソーム封入IL-12投与群では著しい抗腫瘍効果が認められ一時的にではあるが肉眼的に腫瘍が消失したマウスも観察された。腫瘍移植後7日目の血中IFN-γ濃度を測定したところ、やはりIL-12局所投与群、IL-12腹腔内投与群、リポソーム封入IL-12投与群で有意に高濃度の血中IFN-γが測定された。今後この抗腫瘍メカニズムの解析(免疫染色、エフェクター細胞の同定等)を行い、さらにリポソームの徐放効果の評価について検討する必要があると思われる。
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