研究課題/領域番号 |
08672353
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
今井 徹 北海道大学, 歯学部, 助教授 (40160030)
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研究分担者 |
小林 雅博 千葉工業大学, 工業化学科, 助教授 (20083868)
亘理 文夫 北海道大学, 歯学部, 教授 (70158682)
佐藤 嘉晃 北海道大学, 歯学部, 助手 (00250465)
山本 隆昭 北海道大学, 歯学部・附属病院, 講師 (40230560)
中村 進治 北海道大学, 歯学部, 教授 (80001791)
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キーワード | 繊維強化プラスチック型材料 / 複合材料 / 審美性矯正用ワイヤ / CPSAガラス繊維 / 浸漬実験 / 生体安全性 / 3点曲げ試験 / 界面接着強度 |
研究概要 |
繊維強化プラスチック型審美性矯正用ワイヤー(以下、ワイヤー)の強化繊維であるCPSA系ガラス繊維(以下、ガラス繊維)とマトリックス材のPMMA(三菱レイヨン製VH種)との界面接着強度変化による機械的強度の影響を調べるため、従来の6%酢酸水溶液で0.3vol%に調節したシランカップリング剤A-174(日本ユニカ-製)に加えて、pH3.9とpH4.2の酢酸水溶液で0.8vol%に調節したシランカップリング剤KBM1003(信越化学工業製)及び表面未処理のものを作製して3点曲げ試験を行った。その結果、従来のカップリング剤であるA-174によるワイヤーが最も良好な曲げ弾性率を示した。 水中への長期浸漬によるワイヤーの機械的強度への影響を調べるため、水温可変式水槽内で3点曲げ試験を行った。浸漬実験の結果、23、37、50℃のいずれの水温でもポリマー体積分率が高いほど温度変化を受けやすいことが分かった。しかし、ワイヤー機械的強度の低下は最大で約9%の範囲内であり、矯正臨床上は問題とならない程度の低下であった。また、浸漬実験後のワイヤーの内部構造を光学顕微鏡とSEMで観察した結果、ワイヤーに最大引張応力がかかる部分ではガラス繊維-マトリックス間の界面剥離、一部のガラス繊維の破断が認められ、一方最大圧縮応力がかかる部分界面の剥離のみが観察された。 ワイヤーをフッ素系コーティング剤Scotch Guard(住友3M製)でコーティングし、水中浸漬実験を行った結果、Scotch Guardによるコーティングの効果は認められなかった。 ラットの背部皮下にCPSAガラス繊維、PMMAペレット、ワイヤーをそれぞれ3日、1週間、3週間、6週間埋め込み、病理組織学的観察を行った。その結果、全ての試料で線維性結合組織による被包化が認められ、生体への危険性は少ないと考えられた。
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