研究概要 |
今年度の研究の主目的は,(1)歯の移動方法の確立,(2)骨芽細胞系のマーカーとなり得る蛋白に対する抗体の作製,および(3)骨細胞の活性のマーカーとなり得る分子のcDNAに対するRNA probesの作製であった.以下にそれらの進行状況を述べる.(1)歯の移動方法については,共同研究者の五十嵐がニッケルチタン合金のワイヤーを用いて第一臼歯の頬側傾斜移動を行うことが可能な実験系を確立した.その組織学的観察によれば,第一臼歯の近心頬側根の近心頬側の歯根膜に実験後2日において垂直的厚さで100μmにおよぶ硝子様変性が出現し,実験後4日に硝子様変性組織に隣接する歯槽骨細胞の変性および消失が認められることを確認している.今後さらに微細構造学的に細胞の形態変化をみる予定である.(2)共同研究者の笹野は,osteocalcin, osteopontin, osteonectin, Bone sialoprotein IIのN端末の合成ペプタイドをそれぞれ作製し,抗ラビット抗体を作製した.今後この抗体の特異性をWestern blottingにより確認する予定である.また,small dermatan sulfate proteoglycanの一種であるdecorin, biglycan, およびtype I collagen, に対する抗体についても,歯槽骨細胞に反応が認められることを確認しており,あわせて骨芽細胞系細胞のマーカーとして利用する予定である.(3) RNA probeに関しては,共同研究者の佐伯によってRNA probe for type I collagenの染色方法を確立した.また,共同研究者の賓はrat decorin, human biglycan,に対するdegoxigenin labeled RNA probesの作製を完了した.
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