研究概要 |
矯正治療のために抜去された側切歯より歯根膜組織を剥離し,10%牛胎児血清を含むDMEM培地下で培養を行った。数日後組織片より遊走してきた細胞を歯根膜由来線維芽細胞(PDL)とし同培地で継代培養した。 (1)RT-PCR PDLにおけるエストロゲンレセプターの発現を確認する目的で,RT-PCRを行った。作成したプライマーの塩基配列は,以下の通りである。 プライマーI:GTGAAGCTACTGTTTGCTCC プライマーII:CACAGACACTTTGATCCACC プライマーIII:AATGCGATGAAGTAGAGCCC PCRの条件は,変性95℃1分,結合55℃2分,伸長72℃3分とし,サイクル数は35サイクルとした。反応後,アガロースゲル上で電気泳動を行ったところ、予想された287bpおよび535bp付近にバンドが確認された。 次いで,エストロゲンレセプターcDNA(Dr. Chambon, Institut de Chimie Biologique, Faculte de Medecine, Franceより供与)をプローブとして用いサザンハイブリダイゼーションを行ったところ,287bpおよび535bpの付近に認められたPCR産物とプローブがハイブリダイズすることが確認された。 (2)ノーザンブロット分析 PDLより抽出したmRNAを用いエストロゲンレセプターcDNAをプローブとしてノーザンブロット分析を行ったところ,6.2kb付近にバンドが確認され,PDLがエストロゲンレセプターmRNAを発現していることが確認された。以上の結果より,PDLにはエストロゲンレセプターが存在する可能性が示唆された。
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