1.咬筋、側頭筋、顎二腹筋前腹の24時間筋活動同時記録システムの開発 当講座現有のデータレコーダを改造し、現在同時4チャンネルのシステムを顎二腹筋前腹も測定するため同時6チャンネル測定システムに変更した。分析用プログラムは、筋活動量に関しては今までの24時間筋電図解析プログラムをもとに作製した。また、筋活動のバランスを分析するプログラムについては新規に作製を行った。 2.健常人のデータの記録および分析 1.で開発した24時間筋活動同時記録システムにより健常人の左右の咬筋、側頭筋、顎二腹筋前腹の筋活動を24時間測定した。被験者は顎口腔機能に以上を認めず、顎顔面骨格および咬合関係に著しい以上を認めない成人10名(男子7名、女子3名)を選択した。安静時における測定した三筋の活動量は、男女間に有意差を認めなかった。三筋で活動量を比較すると顎二腹筋前腹が最も大きな値を示し、咬筋が最も小さな値を示した。各筋の1時間当たりの筋活動持続時間は、顎二腹筋前腹が12.5分、側頭筋が5.6分、咬筋が3.7分となった。また、筋活動の出現回数については、顎二腹筋前腹が2027回、側頭筋が936回、咬筋が334回となった。さらに開閉口運動時における顎二腹筋の筋活動に遅延の見られないことから、顎二腹筋は下顎運動に対し、鋭敏に反応する筋であることがわかった。 次年度は、顎変形症患者を対象とし、同システムにて左右6筋の同時記録を行い、本年度に確立した方法により分析し、本年度に得られた健常人のデータと比較解析する。また側方頭部X線規格写真より得られた形態学的特徴との関連から、骨格形態と筋機能の関連の詳細を明らかにすることを目的としている。
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