院内感染の早期防止は、現在、歯科領域においても一つの重要なテーマとなっている。その感染源対策として、感染症の実態を把握し、保菌者の発見に努めなければならない。そこで、安全に、難しい操作を必要とせず簡単に口にくわえるだけで患者にも全く抵抗なく、素早くいつでも検査材料としての唾液(主に口腔粘膜浸出液)を採取することができる、唾液採取器具(オラシェア-【encircledR】)を用いて、その検査結果を基に問診の信頼性について調査、検討を行う。まず、今年度は、障害者に使用する前に健常者の唾液を採取、検査し、採血用濾紙による検査、および、通常の末梢血液検査と比較した。 1.対象 了解の取れた健康な男子 2.方法 (1)(1)唾液採取 (2)末梢血液による採血 (3)採血用濾紙による採血 (2)検査項目 HA抗体、HBs抗原/抗体、HCV抗体、HTLV、麻疹ウイルス、風疹ウイルス、フェニトインの薬物濃度、以上8項目である。 (3)結果 唾液によるHBs抗体は、末梢血液によるものより低値を示した。他の検査項目については、同程度の値が得られた。 今後は唾液による検査の症例数を増やし、障害者歯科における実態の把握および、基準値の作成を行っていきたい。
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