研究課題/領域番号 |
08672378
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
長谷川 智一 長崎大学, 歯学部附属病院, 助手 (50274668)
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研究分担者 |
渡邊 隆之 株式会社サンギ札幌研究所, 硬組織研究室, 室長
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キーワード | ヒト乳歯歯髄細胞 / 株化 / simian virus 40 / large T antigen / フォスフォフォリン |
研究概要 |
1.ヒト永久歯歯髄細胞の分離及び癌化遺伝子導入 ヒト乳歯歯髄細胞と同様に、ヒト永久歯歯髄組織を無菌的に分離した。取り出した組織をメスにて可及的に細切後、0.1%トリプシン、0.02%EDTAを含む生理的食塩水(PBS)で処理後、2mg/mlコラゲナーゼを含むPBSで処理し、細胞を分散させた。分散した細胞は径60mmディッシュに播種し、炭酸ガスインキュベータ-内で細胞培養を行った。継代培養を2-3回行い、十分に細胞数を調製後、乳歯歯髄と同様にして遺伝子導入を行った。 癌化遺伝子の導入は電気穿孔法によって行い、安定的遺伝子導入細胞を選択し、細胞培養を行った。 2.細胞の株化と基本的形質の解析 安定的遺伝子導入細胞の培養を行い、継代を重ね、細胞倍加指数(PDL)が100PDL以上の細胞株を株化細胞とした。 いずれの株細胞も軟寒天内コロニー形成能を示さず、またヌードマウスへの可移植性を示さなかったため、腫瘍化まではしていない、一般的な不死化細胞の形質を示した。 3.象牙質を介した細胞毒性試験の開発 2.で樹立した細胞株を試験細胞として、歯科修復材料に対する細胞毒性試験を行った。象牙質切片を介して修復材料の毒性試験を行う事で、歯冠修復材料が実際に象牙細管を通過して歯髄組織に作用するかどうかを明らかにする事が可能となった。また毒性試験後の培地や細胞を分析する事で、各種サイトカインの定量や細胞死の同定が可能である事も示した。 今回の実験では、歯冠修復材料の一つである、レジンに対して毒性試験を行い、生細胞数の計測、ELISAによるIL-1βの定量、apoptosisの有無を検討した。その結果、未重合レジンが象牙細管を介して細胞毒性を発現する事が明らかとなった。apoptosisが認められなかったため、necrosisによる細胞死が生じている事が明らかとなった。この毒性感受性については乳歯と永久歯間で有意差は無く、IL-1βの産生は認められなかった。
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