研究概要 |
1.本教室で成人口腔内分離株1208-1株を材料とした。 2.ブレインハートインフュージョン培地で嫌気性培養,集菌後,緩衝液で懸濁した後ピペッテイングと超音波処理で機械的に菌対表層物質を剥離し,80%の硫安塩析を行った後,ハイドロフォービック1回,イオン交換2回のカラム操作を行い,精製標品を得た。この際の同定は以前作製した線毛に対する抗体を使用したウエスタンブロツテイングにて検出した。 3.ゲル電気泳動法により精製標品は51kdのモノマーの他に約200kdのヘテロマ-が存在したが,100℃,2分の処理で容易にモノマーに解離した。カルシウムイオンアイソトープによるカルシウム結合試験の結果モノマーにだけ結合能が認められた。 4.アミノ酸分析ではGly,Leu,Thy,Ser含量が多いものの,特に特徴は見られなかった。pIは4.7でやや酸性を示した。 5.精製標品に対する特異抗体を作製した。 次年度では本年度予定の未消化分である,蛍光指示薬を用いたカルシウム結合定量性試験を行うこと。特異抗体により線毛との関連を検討すること。唾液による菌体凝集反応との関わりについて調べた後,当初の予定である以下の点について調べていく。 6.精製標品を酵素処理した後,ペプチドマップ法,あるいはこのペプチヒドを分離,精製して,分子内のカルシウム結合ドメインを決定する。 7.CDスペクトル分析により,精製標品のカルシウム存在,非存在下での高次構造を解析する。 8.これらのことから本物質の口腔内sIgA刺激能に関するカルシウム依存性エピトープの構造を調べ,局所免疫メカニズム解明への一助とする。
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