研究概要 |
エナメル質に紫外域のエキシマレーザー光照射を行い、同時に種々濃度のフッ化物溶液を作用させて、光化学反応によるエナメル質のF^-取り込み効果を検討した。抜去大臼歯の表層から200μmほど研磨除去して、通法により表面仕上げを行いエナメル質片を作製した。それぞれ、F^-とレーザー光照射(同時作用群)、F^-作用(塗布群)、レーザー光照射(照射群)および対照群の4群とした。エキシマレーザー(KrF,248nm)の照射条件は70mJ/cm^2で500〜5,000shotsとした。フッ化物溶液としてNaFとMFP(モノフルオロフォスフェート)水溶液を用い、それぞれのF濃度は0.1〜4.0%とした。実験に供試したエナメル質片は、SEM像およびXPSによる表層形態の観察と耐酸性試験で解析し、以下のような所見が得られた。 1.NaF溶液(同時作用群)のSEM像からは、2〜4%NaF溶液作用群に光化学反応の生成物と考えられる堆積物の沈着が観察された。 2.NaF溶液(同時作用群)、NaF溶液(塗布群)、レーザー光照射の(照射群)、対照群の耐酸性をNaF溶液の作用濃度で比較したところ、4%NaF溶液を除く全てで有意差(4群/one-way ANOVA)が認められ、同時作用群の耐酸性が抑制率で36〜51%改善された。 3.MFP溶液(同時作用群)の耐酸性の程度は、対照群のCa溶出量と比べて、全ての濃度で有意差(2群/t-test)が認められた。1.7%と3.4%MFPの耐酸性は同時作用群で41〜42%改善された。 4.1%NaF溶液(同時作用群)を70mJ/cm^2、500〜5,000shotsの照射線量で比較し、3,000shotsで最も高い耐酸性付与が認められた。
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