研究概要 |
【目的】平成8年度および9年度は矯正治療前、後、保定後の歯列の変化を3次元的に把握するための石膏模型の重ね合わせ法について検討したが平成10年度は東京歯科大学矯正学教室の卒後研修課程第1期生が治療した矯正治療後20年経過の歯列模型に応用し、歯牙の移動状況を視覚的にとらえた。 【方法】3次元レーザーデジタイジングシステム(Surveyor)を用いて矯正患者の治療前と治療後および治療後20年の上顎模型の計測を行った。咬合平面を基底面に平行に模型台の上に設置し、口蓋の正中に対してほぼ直角に0.3mmピッチで走査線を走らせ、歯牙および口蓋のデータを取り込んだ。重ね合わせには基準となる部位が重要であるが、上顎では口蓋最深部から5〜6mmが変化が少ないと報告があることから、硬口蓋中央部に重ね合わせの基準をおいた。CAD/CAMソフト(Camand)を使用して治療前と治療後、治療後と保定後の上顎模型を硬口蓋部で重ねるマクロを作成し重ね合わせた。また同様のデータに三次元データ処理解析ソフト(Surfacer)にて面を張りつけてから口蓋中央部の面で重ねたところよりビジュアルな像が得られた。 【結果】レーザーディジタイジングシステムをもちいて治療前、後、保定後の模型の重ね合わせを3次元的に視覚的に表示する事は、これまでの2次元的な把握に比べ格段の情報を得られると考えられた。以上の内容は“レーザーディジタイジングシステムを用いた歯列模型の重ね合わせ法について" 宮崎晴代、茂木悦子ら、第264回東京歯科大学学会(1998.6/6) “歯列模型形状計測システムを用いた矯正治療後長期経過症例の歯列の重ね合わせ法について"、宮崎晴代、茂木悦子ら、第57回日本矯正歯科学会(1998.10/1,2)にて発表した。
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