1.口腔内局所浸潤麻酔注射時の疼痛軽減法に関する研究 健常成人22人について、左右上顎犬歯部の歯肉頬移行部粘膜に、一方を4%リドカインのイオントフォレ-シスを用いた表面麻酔、他方を60%リドカインテープを10分間貼付した表面麻酔を行い、その後左右ともに、30G注射針を用いてPHを7.4に調整した2%リドカインを0.1mlを10秒間で注入する局所浸潤麻酔を電動注射器を用いて行った。その結果、VAS値(想像できる最も激しい疼痛を100)はイオントフォレ-シスを用いた場合が平均5【.+-。】14SD、60%リドカインテープを用いた場合が平均2【.+-。】4SDとなった。 2.静脈注射時の疼痛軽減法に関する研究 健常成人25人について、左右手背静脈を対象部位として、一方を実験側とし10%リドカインのイオントフォレ-シスを行い、その後、33G歯科用注射針を用いてPHを7.4に調整した2%リドカインを0.1mlを10秒間で注入する局所浸潤麻酔を行った。その3分後に22G静脈留置針にて静脈穿刺を行った。他方は対照側とし60%リドカインテープを60分間貼付した後、22G静脈留置針にて静脈穿刺を行った。この時の疼痛の程度を実験側は、局所浸潤麻酔時の33G歯科用注射針刺入時、PHを7.4に調整した2%リドカインの注入時、22G静脈留置針にて静脈穿刺時の計3回、VAS値(想像できる最も激しい疼痛を100とした場合)を用いて調査した。対照側は22G静脈留置針にて静脈穿刺時のみ同様に調査した。その結果、VAS値(想像できる最も激しい疼痛を100とした場合)はイオントフォレ-シスを用いた場合が平均2【.+-。】4SD、60%リドカインテープを用いた場合が平均21【.+-。】19SDとなった。 上記の研究を行い、平成8年の障害者歯科学会、日本臨床麻酔学会にて発表を行った。
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